「道草」とあわせて読みたいのが妻・夏目鏡子(故人)の「漱石の思い出」(文春文庫)。妻の目から漱石の奇行の詳細を語っている。一方、小宮豊隆氏は「夏目漱石」(岩波文庫)などで鏡子を悪妻として紹介したが、漱石の次男・伸六氏(故人)が「父・夏目漱石」(文春文庫)で小宮説を否定し、母を援護した。
漱石の内的な葛藤と作品とを重ねて読むには吉本隆明、佐藤泰正両氏の対談「漱石的主題」(春秋社)、吉本氏「夏目漱石を読む」(筑摩書房)がわかりやすい。
柄谷行人氏「漱石論集成」(平凡社ライブラリー)、江藤淳氏「決定版 夏目漱石」(新潮文庫)はファン必読書だ。