クリスマス・カロル (新潮文庫) (1952/11) ディケンズ 商品詳細を見る |
内容(「BOOK」データベースより)
ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者スクルージ老人は、クリスマス・イブの夜、相棒だった老マーレイの亡霊と対面し、翌日からは彼の予言どおりに第一、第二、第三の幽霊に伴われて知人の家を訪問する。炉辺でクリスマスを祝う、貧しいけれど心暖かい人々や、自分の将来の姿を見せられて、さすがのスクルージも心を入れかえた…。文豪が贈る愛と感動のクリスマス・プレゼント。
【Schazzie's Comment】
翻訳者の村岡花子さん同様、毎年クリスマスに読む本。
何となく児童文学のようなイメージを持っていたけれど、子供の頃は怖くて読めなかった。大人になってようやく意味が分かり、これはけして児童文学ではない。大人こそ読むべき本だと認識を改めた。
人間誰しも年をとるにつれて頭が固くなり、偏屈になったり、へそ曲がりになったりする。そうなってはいけないと自戒の意味で毎年読んでいる。1年経って忘れかけた頃にまた読む。何度読んでも新鮮な思いにとらわれ、毎回感動している。失いたくない素直な心、他人に対する愛情と善意を思い出させてくれる本。この本を読んでもなお頭が固く、偏屈でへそ曲がりな方には、DHA & EPAを摂取することをお薦めする。
ディケンズの翻訳はあまり良いものがなく、日本語で読むのが辛い(原書ではもっと辛いが、雰囲気は損ねないだろう)のだけれど、村岡さんの翻訳は好き。私が生まれる前に訳されているにも関わらず、けして古臭く感じない。また、ディケンズの文体もよく捉えていると思う。ジョン・アーヴィングが敬愛するディケンズ。その理由がよく分かるような訳が小気味良い。