1949年度のノーベル文学賞に輝く、ウィリアム・フォークナーは、アメリカ文学の伝統を継承する最もすぐれた作家であるのみならず、広く『20世紀文学』の領域において、世界的な地位を占める巨峰であるといえる。
「人間の心を高揚させ、人間の過去において栄光であった、勇気・名誉・希望・誇り・憐憫・同情・犠牲を想起させることによって、人間が耐え忍んでいくのを助けるのは、作家の特権である」という使命感のもとに、ひたすら人間の魂の内奥に潜む永遠の問題を描き続けたフォークナーの文学は、まさに世界の共有財産といえよう。
本全集は、近年の厖大な研究成果および厳密なテキスト・クリティークに基づいて、ともすれば難解と評されるフォークナーの全作品を、深く文学を愛する専門家の現代感覚にあふれた決定訳によって、広くわが国の文学読者に提供し、未来の「われらの文学」に裨益することを念願としたものであります。
■詳細は 冨山房 まで─http://www.fuzambo.com/
