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ツブヤキニッキ

血液型:関係ないとは言わせない

筆者はよく血液型で他人の性質を考える。わが編集部員の血液型を判読して「なーる」と妙に納得し、はて編集長は何型だろうと思いをめぐらす今日このごろだ。
しかし、おおわだしょうぞうさん(43)の血液型に対する関心はレベルが違う。何せ会うなり真顔でこう言った。
「掲載例から言えば、朝日新聞社は血液型が人格と無関係というスタンスをとっているようにお見受けしますが・・・」
血液型に関する朝日新聞社の記事一覧を表記したメモには、年月日に続き、「AERA」や「朝日地方版」と書かれ、その下に「×」や「△」などとある。これは、おおわださんの記事に対する鑑定印らしい。
血液型と人格の関連性を「確信しているのではなく、アルと断定している」というおおわださんは、茨城県内に暮らす平凡な勤め人だ。
1973年、故・能見正比古氏(おおわださん談「興味のあることなら何でもアリで突っ走るB型」)の「血液型人間学」を読んで、この世界に夢中になった。血液型に関する書物約200冊を読みあさり、中国語や英語の関連本も取り寄せた。8年前からウェブサイト(http://www010.upp.so-net.ne.jp/abofan/)を主宰。蓄積情報量は15メガバイト。文字数は300万字、単行本換算で10冊以上だという。
サイトでは血液型と人格の相関関係を、様々な文献の分析情報を引用しつつ熱弁している。戦中、女子高等師範学校(現・お茶ノ水女子大)の古川竹二教授の学説に基づき旧日本軍が血液型性格判断に関して調査・研究した、といった「血液の基礎知識」など、掲載項目は数え切れない。
新聞、テレビ、雑誌で血液型がテーマになれば必ず内容をチェックする。「もちろん、血液型と性格の関連性をどう扱うかに注目する」という。そして最大のライバルであり続けるのが、日本の心理学の学術研究者だちだ。学術的に血液型と性格は無関係だとの立場を貫いている。おおわださんは、好敵手だちに徹底論戦を挑んできた。理由は簡単。「ぼくが納得できる客観的な論理が何一つ示されていないから」という。
論戦の舞台はサイト。「心理学者の間違い探し」という項目で、20冊ほどの心理学関係の著作のアラを指摘しまくっている。ただし強引な感じを受けるところも、あるにはある。そう指摘すると「主流の学者を狙ってますからね。ええもうほとんど嫌がらせって感じですね」。ふふふっとシニカルな笑いを浮かべた。
学術関係者らの著作も50冊近く読破した。注意深く、細部に目を光らせながら。「ぼくはAB型なんです。AB型ってのはね、間違っていると思う相手がいれば徹底的につぶしにかかる。イヤミは一級品なんです」
─(文・浜田奈美/朝日新聞 6/26)