昨年初めて青森を訪れ、八戸から十和田湖、奥入瀬渓流、八甲田山、青森市内、弘前と巡って来ました。その中で一番行きたかったのが弘前でした。そして弘前で最も訪れるのを楽しみにしていたのが、弘前大学。
父が東北に縁があり、旧制弘前高校(現在の弘前大学、太宰治が通った学校)から東北大学に進んだので、弘前と仙台の話は幼い頃からよく耳にしていました。
仙台は数年前に行きましたが、時を経て弘前を訪れる機会に恵まれ、父が話していた弘前の街をようやく知ることができたのです。
現在の大学には私の見るべき物はありませんが、構内の片隅に旧制高校時代の外国人教師の宿舎があり、それが唯一父と共有できる風景。父が見ていたであろう建物でした。
現在はカフェになっていましたが、今でも大事に使われているのを見てとても嬉しかったと同時に、直前に訪れた弘前図書館で感じた、胸が締め付けられるような懐かしさをまたここでも感じました。
図書館とこの建物には共通点があります。レトロなミントグリーンのペンキの色です。この色はそのまま父が実家の診察室の外壁と窓枠に塗った色でした。内側は白い壁。
診察室の外壁はこの建物と同じ板張りだったし、窓枠も似ています。ひと目見て父はこの建物を参考にしたに違いない、もしかしたら図書館もと思ったら、懐かしさで胸がいっぱいになりました。
診察室は父が亡くなってから新しくなり、また、もう父に確認することも叶いませんが、ここに父が居た事は間違いない。そして卒業してから何年も経って、この建物を思い出したのでしょう。あるいは、診察室をこんな風に作りたいとずっと思っていたのかもしれません。
今回の旅行で、父の思いのルーツを知ることができて本当に良かった。センチメンタルと思われるかもしれませんが、怖い父親だったのであまり会話もなく、父の事はほとんど何も知らないままだった為、ひとつでも理解できた事は、心から嬉しいと思います。
今年の春、再び弘前を訪れ、念願叶ってこのカフェで時間を過ごす事ができ、もう思い残すことはありません。
当初予定にはなかっただろうけれど、ここに連れて行ってくれた主人にもこころから感謝です。
ありがとう!