『ライオンボーイⅠ 消えた両親の謎』/ジズー・コーダー (著), 枝廣 淳子 (翻訳), 天野 喜孝
- 価格: ¥1,995 (税込)
- 単行本: 459 p ; サイズ(cm): 21 x 15
- 出版社: PHP研究所 ; ASIN:4569632874 ; (2004/02/02)
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近未来のロンドン。地球は「帝国」の支配を受けていた。ガソリンなどの資源は尽き、車に乗れるのは特権階級の人々だけだ。ある日、チャーリーの両親が忽然と消えた。彼にも敵の魔の手が忍び寄る。ネコたちの情報を頼りに、チャーリーの両親を探す冒険が始まった。
チャーリーは、ネコ語が話せる男の子。両親は誘拐されたと近所のネコに聞かされた。これには近所の不良少年ラフィが関わっているらしい。チャーリーは両親を探し始める。執拗に追うラフィ。川を進むサーカス団の船に乗り込んだチャーリーは、そこでライオンたちに出あう。ライオンはアフリカの平原に戻りたがっていた…。
原作者は、ルイ―ザ・ヤングとその娘イザベル。ペンネームのジズーとは、実は娘が飼うトカゲの名だそうだ。この物語は、ルイーザがイザベルに語り聞かせるために考えたものだという。そのせいか、サーカス団に紛れ込んでの逃避行、船の旅そしてオリエント急行と、子どもがあこがれるものがたっぷりと出てきて、退屈させない。
しかし、この物語の最大の魅力は、主人公チャーリーがネコ語を話せる以外は、ごく普通の少年として描かれていることだろう。独特な文体はどこか舌足らずで、理屈っぽく感じられる向きもあるかもしれない。だが、決してスーパーマンではないチャーリーの心情が丁寧に描かれていて、読者はチャーリーに親近感をもち、次第に物語にひきこまれていくことだろう。3部作の1作目ということだが、2、3作目の展開が期待される。(川瀬道子)