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『バーティミアスII ゴーレムの眼』

◆あの落ちこぼれ魔人が帰ってきた!
『バーティミアスII ゴーレムの眼』/ジョナサン・ストラウド(著)、金原瑞人、松山美保(翻訳)

あの事件から2年、ナサニエルは再びバーティミアスを召喚する。闘うべき相手は最強の魔物、ゴーレム。しかも、その影には意外な黒幕が…。前作を超えるスピード感で繰り広げられる陰謀と冒険の数々、壮絶なバトルがいま幕をあ ける。今年最高の本格ファンタジーバーティミアスII ゴーレムの眼』。

出版社 / 著者からの内容紹介
あのクーデターから2年。ナサニエルは14歳にして、国家保安省の補佐官になっていた。このごろ多発している、魔術師をねらったレジスタンス事件を解決するため、ナサニエルは再びバーティミアスを召喚する。


しぶしぶながら引き受けたバーティミアスだが、ついにある爆破事件の犯人をつきとめる。それはかつてプラハで目にしたゴーレムだった! しかしゴーレムを影で操るものが、どうやらイギリス政府の要人の中にいるらしい。


一方、少女キティがかかわるレジスタンスが墓荒らしをして、政府の大切な宝「グラッドストーンの杖」を盗み出す事件も発生した。ナサニエルは、杖をもって逃走したキティを追跡する。バーティミアスの助けを借り、杖を奪い返そうとしたとき、そこに現れたのが骸骨姿のアフリート。さらには、巨大なゴーレムが!?


グラッドストーンの杖」をめぐって、三つどもえの壮絶なバトルがはじまる……。この戦いに最後に勝つのは誰? そして、事件の背後にちらつく強力な黒幕の正体とは……?

◆こちらもどうぞ
『バーティミアス-サマルカンドの秘宝』

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ナサニエル少年は魔術師の卵。5歳のとき、実の両親によって政府に売り飛ばされ、ある師匠の下に弟子入りさせられた。有力な魔術師たちがイギリスとその領土を支配し、ナサニエルは、彼自身が、ある「崇高なる運命」のための「最高のいけにえ」なのだ、と教えられている。両親と別れ、過去の暮らしを捨てるのはまだ我慢できるとしても、国家保安省の役人でもある師匠アーサー・アンダーウッドは、非情で残忍で恩着せがましい中流の魔術師だ。ナサニエルの唯一の救いは、師匠の夫人マーサ・アンダーウッド。夫人はナサニエルに心からの愛情を示し、彼もひたむきな献身でそれに報いている。何年ものあいだ、アンダーウッド家でどうにかうまくやってきたナサニエルだが、12歳を目前にした夏、すべてが一変する。冷酷な魔術師サイモン・ラヴレースに人前で恥をかかされ、おまけに師匠にも裏切られてしまう――臆病者のアンダーウッドは自分の弟子をかばおうともしないのだ。


復讐を誓うナサニエル。全知全能を望んで悪魔に魂を売り渡したファウストを思わせる熱意で、魔術の教本をむさぼり読みひたすら腕を磨きながら、一方では努めて従順な弟子を装う。強力なサマルカンドのお守り(アミュレット)をラヴレースから盗んで恨みを晴らそうと、力を振り絞って、よわい5000歳の妖霊バーティミアスを呼び出すとき、少年魔術師ナサニエルは、自らの想像を絶するほど危険きわまりない状況に身を投じてしまう――。


このすばらしい小説『The Amulet of Samarkand』(邦題『バーティミアスサマルカンドの秘宝』)は、イギリスの作家ジョナサン・ストラウドの「バーティミアス3部作」の1作目にあたるもので、バーティミアスの1人称の視点とナサニエルをめぐる3人称の語りを交互に繰り返すかたちでストーリーが進んでいく。このバーティミアスが傑作で、はじけるウィットで大いに笑わせてくれる。本文に収まりきれず脚注にまであふれ出した彼の辛辣で不遜な独白も、まともな読者なら決して読み飛ばしはしないだろう。おしゃれでサスペンスたっぷりの、じつに良くできたすこぶる愉快な1冊。続きを読むのがきっと待ち遠しくなる。(対象年齢:12歳以上)(Karin Snelson, Amazon.com