東京、特に私が住んでいる新宿あたりでは、電信柱や電線を見かけることがめっきり少なくなりました。
それに慣れてしまっているので、実家のある町に、こんなに電線があったということに改めて気付いて、今更ながらに驚いた次第。
高いビルもないので、空をバックにくっきりと見える電線。写真を撮ったのが夕方ということもあり、妙に郷愁を感じた風景でした。
さらにこの季節は、家の庭にある金木犀の香りが大気に漂い、さらなる郷愁を掻き立てます。
また夕暮れの西の空に見えた宵の明星・金星が、東京で見る何倍もの明るさで煌めいているのを見て、ほとんど泣きそうになりました。
そうだった。
この町は星が綺麗に見える町だった。
それもまた、忘れていたことのひとつ。やはり今更ながらに思い出して、感動を新たにしたのでした。寂れた町だけれど、その代わりに素晴らしい事もあるのだと。
今年7月に大接近した火星も、この町で見たら、きっとこの世のものとは思えないほど素晴らしかったに違いありません。E・R・バローズの《火星シリーズ》の主人公ジョン・カーターのように、強く願えばそこに飛んで行けるのではないかと思うほど、近くに感じられたことでしょう。