す も も の 缶 詰

ツブヤキニッキ

朝日新聞より

主人公の「わたし」は、父危篤の報に母と兄と病院にかけつけた。だが、無言で父の死を伝える医師のサインを、自分だけが見逃した。そのトラウマを抱えた息子の、孤独な魂の放浪を描いた小説。10代のアラビア行以来、重ねた旅の先々で年格好の似た男性に父の面影を重ねずにはいられなかった「わたし」が、14年を経て、父の墓参を決意するまで。著者は、現代日本文学の紹介者として著名なイタリアの作家・翻訳家。本書は卓抜な日本語で書かれた。