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ツブヤキニッキ

ジョイス・キャロル・オーツ

I Am No One You Know: StoriesJoyce Carol Oates (著)

  • U.S. 定価: $24.95
  • 価格: ¥1,886 (税込/Amazon.co.jp
  • OFF: ¥809 (30%)
  • ハードカバー: 290 p ; 出版社: Ecco Pr ; ASIN:0060592885 ; 1st 版 (2004/04/25)

From Publishers Weekly
陰惨なテーマやセンセーショナルなテーマにも果敢に挑んできたジョイス・キャロル・オーツは、この最新短編集でも殺人、強姦、放火、テロリズムなどを題材にしている。彼女は19編の物語のなかで、小さな町の暗部と、そこの住人たちの心に取りついた奇妙な願望を巧みに描き出している。


10代の少女が年上の好色な男にたまらなく引かれる「Upholstery」。残虐な誘拐犯に連れ去られた14歳の少女が、犯人の信頼を裏切りたくないからと逃げるのをためらう「The Girl with the Blackened Eye」。オーツの緻密な心理描写のなかでは、犠牲者たちも悪党と同じくらい複雑で、ほぼ例外なく悪党よりおもしろい。犯罪者の誘惑は、魅力的で抗いがたい。


「In Hiding」と「The Instructor」では、中流階級のインテリ女性がなぜか前科者に引かれてしまう。「Three Girls」には、犠牲者の原型ともいうべきマリリン・モンロー――好評を博した2001年のオーツの長編『Blond』の題材にもなった――が変装して登場する。ストランド古書店でモンローに出くわした2人の女子学生が、彼女の正体がばれないよう手助けしようとする。


最後の1編は、「9.11」にまつわる物語。オーツ以外の書き手なら、きっと奥行きを欠いた平板なものになるのだろうが、ダウンタウンのアパートメントに閉じ込められながら恐怖に屈しまいとする若い女性を描いた「Mutants」は、見事に、そして不思議に心を打つ。「彼女の目は落ちくぼみ、やつれてはいたが、眠ることはなかった。もはや夢見る眼差しのブロンド娘ではなかった。生き延びる術を心得た、突然変異した存在」。この作品に限らず、堅実な書きぶりに支えられたこの短編集のなかのどんなに奇妙な出来事も、痛いほど覚えがあることを読者は感じるのだ。
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