す も も の 缶 詰

ツブヤキニッキ

極上のブラック・ユーモアと皮肉の宝庫。シニカルな笑いを解するあの人をうならせるギフトにも!

『珍説愚説辞典』/ベシュテル、カリエール
大作家、大学者、ローマ法王の言説から大新聞の記事まで、古今東西の書き物より約3500の珍説愚説を収集、1500の項目に分けて収めた、類例のない大辞典『珍説愚説辞典』、待望の完訳! 粋な装丁も魅力。

「珍説愚説は何よりも、その時代の鏡である。(中略)ある時代の愚かしさを白日の下に晒すことは、おそらく、当時の輝かしい出来事だけを綿密に調査するよりずっとその時代についての理解を深めてくれる」(序文「珍説愚説礼賛」より)

――─人を食った、人間精神の愚かしさをまざまざと見せつけるような、笑いと毒にみちた辛辣な著作(澁澤龍彦

(以下、本文より)

【横隔膜】 ■笑い死に
ひとは横隔膜に鋭い反応力を認めている。横隔膜に肉がなく、筋ばって薄いのは、そのためである。また横隔膜は陽気な気分の中枢でもあって、その近くにある腋の下をくすぐってみれば、その効果はすぐ現れる。人間の皮膚のうちで、ここ以上に敏感な場所はない。くすぐったさのいちばん感じられる場所が、ここなのである。戦場や闘技場で、横隔膜を槍に刺しつらぬかれたひとが、笑いながら死んでいくのはしばしば私たちの目撃するところである。

エスカルゴ】 ■どうやって頭を切るか
エスカルゴの頭を切るには、まず左手で貝殻をおさえ、大きな鋏の下側の刃を首の下に当てる。それから蝸牛が普通の状態に戻るのを待つ。蝸牛が首を十分にのばし、角が黒い液体(それは蝸牛の認識を左右する最も有効な成分らしい)で包まれたら、上の刃が大きな角の後ろあたりの首に触れるまでゆっくりと鋏を閉じてゆく。そこまで行ったら、あとはA(ア)の字を発音するくらいすばやく指を動かして蝸牛の首を切るのである。