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ツブヤキニッキ

ミルリトン

抜歯後、とにかく痛いので安静にして寝ているしかなく、本を読もうとしても、読書中の戦国武将の話は余計に痛くなりそうだし、大好きな茅田砂胡のファンタジーも元気な時でないと無理と分かった。

というわけで積読本の中から、吉田音(よしだおん)の『夜に猫が身をひそめるところ-ミルリトン探偵局』という本を選んだら、ストレスなくするすると読めて当たりだった。

作者の吉田音は、これまた大好きな吉田篤弘の娘という設定なのだが、実は吉田篤弘本人のデビュー作らしい。読んでみれば、確かに吉田篤弘よねと分かるほどに吉田篤弘っぽい。

ところでこの本を買ったのは、「ミルリトン」という言葉に反応してのこと。家の近所に「MIRlitonCafe」というカフェがあり、大文字と小文字が混じった単語はなんと読むのだろうか?とさんざん悩んでいたところ、「ミルリトンカフェ」と判明した。

読み方が分かったら、今度は意味が知りたくなる。そんな時に見つけたのがこの本で、これを読めば意味が分かるに違いないと思って(Googleで検索すればすぐに分かったのだが)、購入した次第。

Googleの説明を引用すると、

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「ミルリトン」とは、フランス・ノルマンディー地方ルーアンで親しまれている、素朴で家庭的なタルトレットです。アーモンドと卵、生クリームで作られたアパレイユを、サクサクのパイ生地で包み、焼き上げたものが特徴。

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本の中にもこれと同じ事が書いてあったので、このお菓子の事で間違いないだろう。

でも、「ミルリトン」は金管楽器の名前でもあり、本の中にはホルン奏者も出てくるので、何か楽器にも繋がりを持たせているのだろうなと推測している。

そのホルン奏者は十月にこだわっている。以下抜粋。

「私は十月という月を隅から隅までしっかりと見据えていたい。眠っている場合ではないのだ。ものすごく眠いのだが、なにせ十月だ。

まるで水底のような
水底の水晶のような
水底の水晶のきらめきのような
十月」

吉田篤弘は、私の中ではファンタジー作家の位置づけなのだが、ファンタジー作家は、だいたい十月が好きだ。その筆頭がレイ・ブラッドベリ。ファンタジー作家ではないが、ロバート・マキャモンの『少年時代』の十月の記述も秀逸。何故だろう?やっぱりハロウィンがあるからかな?

そういう私も、昔から十月にはわくわくしていたのだが、近年ハロウィンの頃まで暑いから、十月のイメージもだいぶ変わってしまった。

そんなわけで、十月が特別な月であるという事に大きく頷きながら読み進めている。吉田篤弘が好きなのは、時々自分の感覚にピッタリな感覚を見つけられるから。言葉の選び方や、モチーフの選び方が絶妙で、「それだ!」と、ポンと手を打ちたくなる。

今回のホルン奏者も、トランペットでもサックスでもなくクラリネットでもなく、ホルンというのがぴったりだなと。

まだ読み終えていないので、これから続きを読むのだけれど、この本には『世界でいちばん幸せな屋上-ミルリトン探偵局』という続編があるのが嬉しい。もちろん購入済。

近所の「ミルリトンカフェ」には、まだ読み方も分からない頃に入った事がある。日替わりランチの生姜焼き定食が美味しかったのだけれど、カレーも美味しいらしい。また行ってみよう!

ちなみに店名の由来である「ミルリトン」というタルトが置いてあるかどうかは定かではない。