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Daughters of Rebecca 感想

かなり以前に紀伊国屋の洋書バーゲンで中身も確認せずに購入し、長い間忘れていた本を何気なく思い出して読み始めたはいいけれど、遅々として進まず、ようやく読み終えました。


なんだかどうも読みにくいなと思ったら、これはウェールズの話でした。スコットランドの話はいくつも読んでいますが、ウェールズの作家が書いたウェールズの話は初めてかも。とにかく英語としてはすごく違和感がある。


何が読みにくいかと言うと、固有名詞の読み方が独特。スコットランドの話も会話に訛りが入ったりして読みにくい部分はありますが、イギリス英語とたいした差はありません。ところがウェールズの話は人の名前や地名が読めないものが多い。


登場人物の名前の読み方が分からないというのは気持ちが悪いものです。特に日本の小説などは漢字の読み方がいろいろあるので、例えば「幸子」は「さちこ」なのか「ゆきこ」なのかと思いながら読んでいると、最後まで物語に入り込めない場合もあります。名前には是非、最初にフリガナをつけて欲しいものです。


で、調べてみたら、ウェールズにはウェールズ語があるというのを知り、仕方がないのでスマホの翻訳アプリにウェールズ語をインストールしました。それでようやく読み方が分かるようになりました。文法や一般的な言葉は英語とほとんど変わらないのですが。


日本だって東西南北の方言がありますから、当然と言えば当然ですが、読み方とか綴りに関してはそういう方言ともまた違うのだと思います。


余談ですが、アイルランドには「Mc」「O'」が頭に付く名前があり、それが付いていると出身あるいは祖先はアイルランドだなと分かります。ウェールズは頭に「L」が付く場合、例えば「Llinos」や「Lloyd」のように、必ず「L」が2つになるので、ウェールズの名前だなと分かります。


そんなこんなで、物語に入り込むまでにさんざん苦労してなかなか進まずにいたので、読了までに2ヶ月近くかかってしまいました。


で、中身はというと、『Daughters of Rebecca』というタイトルを見て文字通りレベッカの娘達の話で『若草物語』みたいなものかと思っていたら、これがまた曲者で、これは【レベッカ暴動】というウェールズの歴史上の出来事のことだったのです。


レベッカ暴動】

1839年~1843年の間にウェールズ中部で発生。課税のレベルに応じて地元の農民と農業労働者によって行われた一連の抗議。暴動者はしばしば女性に扮した男性。


じゃあ、歴史を元にした社会的な話なのかと思って読み進めたところ、これまたとんでもなくて、実は不倫をメインにしたドロドロの愛憎劇だったという次第。


確かに主人公の不倫相手はレベッカ暴動のリーダーという設定ではあるものの、何故そのような抗議をしているのかはよく分からず。


最後は暴動があったおかげで、夫婦の鞘が元に戻ったというオチもありますが、それが「レベッカ暴動」である必要性が全く分かりません。


というわけで、苦労した割に中身はあんまりなかったなという感想ですが、他人のスキャンダルはそれなりに話の行方が気になるもので、とりあえずは読み飛ばす事もなく、無事に読了致しました。


『Daughters of Rebecca』 IrisGower #ブクログ https://booklog.jp/item/1/0593040112