す も も の 缶 詰

ツブヤキニッキ

池波正太郎『真田太平記』全18巻読了

f:id:schazzie:20210601214521j:plain

芦川淳一さんの時代小説にはまり、池波正太郎の『鬼平犯科帳』に心酔し、とうとう戦国時代の小説にまで手を伸ばすという私の時代小説遍歴。遂に『真田太平記』全18巻を読み終えました。これで読了した時代小説は105冊となりました。


それまで読んでいた時代小説はフィクションで(鬼平は実在の人物ですが)、ほとんど勧善懲悪ものでしたが、戦国時代の史実を題材にして書かれた小説は、謀略あり、裏切りあり、暗殺ありの戦に明け暮れた時代の話なので、物語としては面白いのだけれど、やっぱり実際の戦国時代は好きではないなと。


戦国時代の正義ってなんだろう?


もちろん、現代でも謀略も裏切りも暗殺もあるし、さらにトップに立つ人間によっては、今の日本のように国そのものまで危うくなる事もあるから、いつの時代がいいとは言えません。


しかし戦国時代は戦に負けた側は切腹とか、その家族まで殺されるとかが当たり前だから、読みながら常に虚しさを覚えていました。何の為に戦をしているのだろうと。


とはいえ、まぎれもなく日本にそういう歴史があったのは事実なので、歴史の勉強にもなったし、小説としては大変面白く読めました。


以前にも書きましたが、『真田太平記』を読んだ中で、真田幸村の兄の真田信之と、熊本城を建てた加藤清正がお気に入りの武将となり、そのあたりをもっと読んでみたいと思い、同じく池波正太郎の作品で、加藤清正を描いた『火の国の城』(主人公は清正の家来の忍びの者らしい)をAmazonで購入したところです。


真田太平記』では、加藤清正徳川家康に毒殺される(諸説ありますが)のですが、ああ、なんでこんなに能力のある、平和の世を望んだ立派な武将が、家康の欲の為に殺されてしまうのだろうと、ここでもまた虚しくなって、泣きたくなるほどでした。


清正ほどの武将なら、せめて戦で死なせてやりたかったと思うのは私だけではないでしょう。そう思わせるのもまた、池波正太郎の筆力なのかもしれませんが。


というわけで、戦国時代の話は『真田太平記』だけしか読んでいませんが、面白かったし、勉強になったし、その時代の様々な事、お城や甲冑にまで興味を持ち始めて知識も増え、私にはかなりプラスになりました。


そういえば『真田太平記』なのに、真田信之以外は真田にはあまり興味が湧かなかったですね。全編を通じて描かれている「草の者」(忍者)にも、残念ながら惹かれませんでした。