先日、ドイツのノーベル賞受賞作家ギュンター・グラスが死去しました。グラスを尊敬する作家に挙げていたジョン・アーヴィングも何かコメントをするのではないかと思っていたところ、ガーディアン誌のサイトに追悼文を発表したようです。
ギュンター・グラスは映画にもなった『ブリキの太鼓』を書いた作家ですが、私自身も原作、映画共に大好きな作品です。ガルシア・マルケスも亡くなってしまったし、巨匠と呼ぶにふさわしい作家がだんだんいなくなってきました。アーヴィングには長生きしてもらって、もっともっと作品を書いてもらいたい。グラス氏のご冥福をお祈りすると共に、アーヴィングの健康と長寿もお祈りしておきたいと思います。
★追悼文はこちら
⇒http://www.theglobeandmail.com/globe-debate/an-unanswered-letter-from-gunter-grass/article23965678/
この追悼文の冒頭に以下のような文章があります。
On my desk in Toronto is an unanswered letter from Günter Grass, mailed from Lübeck on March 23. I’m sorry I didn’t answer him before he died.
グラスから手紙をもらっていたのだが、彼が死ぬ前に返事を出せなかったという内容。
アーヴィングとグラスには関係のない話になってしまうけれど、誰がいつどうなるかなんて分からない。だからメールや手紙にはできるだけ即レスを心掛ける。できるのにしなかったという後悔が一番辛いですからね。待っている相手の気持ちを考え、とりあえずでもいいから今できる範囲での返事をするよう気を使います。
このアーヴィングの文章を読んで、彼の後悔はどれほどだろうかと思いました。まあ、そこは作家ゆえのフィクションもあり得ますが、たとえそうであっても、そういう状況はひどく悲しいということを表現しているものだと思います。