す も も の 缶 詰

ツブヤキニッキ

最も奈良らしい景色

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水と緑と五重の塔。猿沢の池越しに興福寺の五重の塔を見た最も奈良らしい景色。西日が照りつけた僅かな時間に撮れた貴重な青空です。この後はずっと曇りか雨でした。気温30度越え、湿度100%での苦行の旅。

 

典型的なホテルの朝食

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写真に撮るほどのこともない典型的なホテルの朝食ですが、昨今こういう朝食はめったにお目にかからないので、個人的には珍しい。1日目は和定食。翌日は洋定食。だりんは茶がゆでした。結局、この和定食が一番美味しかった。ご飯お代わりしたもの。

三島由紀夫の石碑

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日本最古の神社、三輪の大神(おおみわ)神社にあった三島由紀夫の碑。ドナルド・キーンと共に訪れて数日宿泊し、御神体である三輪山に登ったらしい。なんたって三島由紀夫ですもの、やっぱりお寺より神社ですよね。

奇跡のぶっかけそうめん

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本場三輪そうめん。大神(おおみわ)神社の入り口で食べたぶっかけそうめんと柿の葉寿司。最初から最後まですごく冷たくて美味しかった!奈良で一番美味しかった物です。

 

長谷寺から聖林寺と巡って暑さで倒れそうになっていたのが、奇跡のように瞬時に生き返った!氷も入っていないのに、あの冷たさをどうやって保つのか謎でした。たぶん器から材料まですべてを冷やしているんでしょうね。味もさることながら、暑さに参っている客に対する心配りにありがとう!という感じでした。

 

ちなみに、ぶっかけそうめんは夏季限定。蒸し暑すぎるので、もう二度と夏の奈良には行かないぞと思っているから、これは最初で最後のぶっかけそうめんになるかも。

斑鳩の里

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斑鳩の里。奈良の天気はどこも毎日こんな感じでした。山に雲が降りて霧だか靄だか結構ドラマチックな眺めではあるけど、周囲が全てこんな感じだから湿度が高いんでしょう。聖徳太子もこんな中で暮らしていたんですね。

法隆寺

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法隆寺の五重の塔。建築物としては興福寺の五重の塔のほうが美しいと思う。でも、聖徳太子が作ったお寺として有名だから修学旅行生がいっぱい。外でも騒がしいけど中でもうるさい。なのに先生は一切注意しないので驚いた。これは良くない。TPOを学ばせないといけませんよ。いつでもどこでも騒がしいのでは、どこかの国の人と一緒。修学旅行は遊びではないのだし。聖徳太子もこの有様は嘆いているでしょう。

夢殿

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法隆寺の夢殿。ところで、法隆寺で一番印象が強いのは玉虫厨子。自分の修学旅行時、どんなに綺麗な物かと楽しみにしていたら、玉虫のたの字も分からなくてがっかりという印象が強く、そんな期待はすでにないものの今回も同様。聖徳太子がいた頃は、きっと夢のように美しく光り輝いていたのでしょう。

暑さたまらずかき氷

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広い法隆寺を回って、服もタオルも汗でぐっしょり。風もないので体温が下がらない。というわけで、法隆寺前にあった冷房の効いた店で久しぶりにかき氷。金時なしの宇治。

 

当然というか何というか、お寺にはどこも冷房がない。なぜかお寺の周囲の茶店にも冷房がない。冷房がありそうな店を見つけるだけで一苦労。観光バスなどで行くなら目の前まで連れて行ってくれるからいいけれど、電車で行くとお寺までどこもかなりの距離を歩くし、坂や階段も避けられないから、休憩するときはもう雰囲気も何も関係なく、とにかく冷房さえあればいいという感じ。昔の人は、日本がこんなに暑くなるとは思ってもいなかっただろうな。

わらび餅

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小腹が空いたので、奈良名物のわらび餅も注文。お店でわらび餅を食べたのは初めて。見た目も涼しげだし味もGOODでした。もちもちの食感が好き。涼しげなわらび餅といい、冷たいそうめんといい、そういった物が名物になるってことは、奈良は昔から暑かったんだろうと推測させる食べ物ですね。

やまとびとコーヒー

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2日目に行った長谷寺付近は、町ごと古びた雰囲気と匂いで、新しい建物などはほとんどなく、冷房の効いた店などなさそうに思いましたが、中に1軒おしゃれなカフェを見つけました。やまとびとコーヒーというのを出している店で、添えられたミルキーのような飴が優しい美味しさでした。雨がパラついて究極に蒸し暑い中、急な坂と階段で死にそうになっていた矢先、この店に救われました。ゆっくりしてって下さいと言ってくれた優しいお姉さんに感謝。

これからの民主主義

「暮らしの手帖」のカリスマ編集長だった花森安治は平易な言葉で語りかける思想家であった。

「ぼくらの暮しを、まもってくれるものは、だれもいないのです。ぼくらの暮しは、けっきょく、ぼくらがまもるより外にないのです。考えたら、あたりまえのことでした」

武器や夜警で守るのではむろんない。よりましな政治を選び取ることで。よくない政治には異議を申し立てることで。語録に収められた短文からはそんな含意が読み取れる。

昨年来、安保法(案)に反対して国会議事堂を囲んだ人にも、同じような気づきがあったはずだ。

「勝手に決めるな」と叫び、「民主主義って何だ」とコールした。何度か足を運んだが、呼号は、反論をさげすみ、言葉を尽くそうとしない安倍政権への怒りのように響いていた。

対立する主張のいずれに理があるかを、国民の前で言葉で競う。それが近代政治だら、安倍政権はあるべき姿からはずいぶん遠い。はぐらかし。根拠を欠く断言。口だけで実行の伴わない「丁寧な説明」。質問への悪態──。国会の内で外で、思い浮かぶだけでも十指では足りない。

多数派が決めて、少数派はただ従えばいい。白黒つけよう、勝ちか負けか、が民主主義ではあるまい。それではいさかいと分断を生むばかりだ。

かつての英首相アトリーは民主主義の基礎を、「他の人が自分より賢いかも知れないと考える心の用意です」と述べた。異なる意見への謙虚や寛容、柔軟性を失っては、多数者の専横を生み、民主主義というシステムは無残な姿をさらすことになる。

民主主義は、意見を異にするものどうしが、それでも肩を組んで歩こうという仕組みのはずである。

そうした互いの対話も熟議も説得も、すべては言葉で行われる。数をたのむ政治の、言葉への怠惰や横着にならされるのは怖い。野党もまた、常套句を手あかのついた論理で連結してみせただけの政治批判が、ずいぶんと多くはないか。

ゆくゆく憲法をめぐる国民投票ともなれば、この国の社会にかつてない分断のくさびが打ち込まれるかもしれない。民主主義を磨き込んできたはずの英国が陥った混乱は、ひとごとではなくなっている。

そのとき私たちの民主主義は真に試されることになろう。その水域に、いまや入ったようである。

排外的なナショナリズムポピュリズムへの喝采。世界を見ればあれやこれやが台頭し、政治と社会の秩序は揺らぐ。

「さて ぼくらは もう一度・・・錆びついている<民主主義>を 探しだしてきて 錆びをおとし 部品を集め しっかり 組み立てる」。これも花森の残していった言葉だ。こんな時代だから胸に畳みたい。

──7/16 朝日新聞「これからの民主主義(4)政治に言葉を求めよう」(編集委員・福島申二)より

これからの民主主義

「暮らしの手帖」のカリスマ編集長だった花森安治は平易な言葉で語りかける思想家であった。

「ぼくらの暮しを、まもってくれるものは、だれもいないのです。ぼくらの暮しは、けっきょく、ぼくらがまもるより外にないのです。考えたら、あたりまえのことでした」

武器や夜警で守るのではむろんない。よりましな政治を選び取ることで。よくない政治には異議を申し立てることで。語録に収められた短文からはそんな含意が読み取れる。

昨年来、安保法(案)に反対して国会議事堂を囲んだ人にも、同じような気づきがあったはずだ。

「勝手に決めるな」と叫び、「民主主義って何だ」とコールした。何度か足を運んだが、呼号は、反論をさげすみ、言葉を尽くそうとしない安倍政権への怒りのように響いていた。

対立する主張のいずれに理があるかを、国民の前で言葉で競う。それが近代政治だら、安倍政権はあるべき姿からはずいぶん遠い。はぐらかし。根拠を欠く断言。口だけで実行の伴わない「丁寧な説明」。質問への悪態──。国会の内で外で、思い浮かぶだけでも十指では足りない。

多数派が決めて、少数派はただ従えばいい。白黒つけよう、勝ちか負けか、が民主主義ではあるまい。それではいさかいと分断を生むばかりだ。

かつての英首相アトリーは民主主義の基礎を、「他の人が自分より賢いかも知れないと考える心の用意です」と述べた。異なる意見への謙虚や寛容、柔軟性を失っては、多数者の専横を生み、民主主義というシステムは無残な姿をさらすことになる。

民主主義は、意見を異にするものどうしが、それでも肩を組んで歩こうという仕組みのはずである。

そうした互いの対話も熟議も説得も、すべては言葉で行われる。数をたのむ政治の、言葉への怠惰や横着にならされるのは怖い。野党もまた、常套句を手あかのついた論理で連結してみせただけの政治批判が、ずいぶんと多くはないか。

ゆくゆく憲法をめぐる国民投票ともなれば、この国の社会にかつてない分断のくさびが打ち込まれるかもしれない。民主主義を磨き込んできたはずの英国が陥った混乱は、ひとごとではなくなっている。

そのとき私たちの民主主義は真に試されることになろう。その水域に、いまや入ったようである。

排外的なナショナリズムポピュリズムへの喝采。世界を見ればあれやこれやが台頭し、政治と社会の秩序は揺らぐ。

「さて ぼくらは もう一度・・・錆びついている<民主主義>を 探しだしてきて 錆びをおとし 部品を集め しっかり 組み立てる」。これも花森の残していった言葉だ。こんな時代だから胸に畳みたい。

──7/16 朝日新聞「これからの民主主義(4)政治に言葉を求めよう」(編集委員・福島申二)より